自然と時代と交信する
塗師屋スピリットを器に込めて
バック・トゥ・ザ・ネイチャー、バック・トゥ・ザ・ルーツ
江戸時代から現在にいるまで、塗師屋(ぬしや)は行商の旅 すがら世の動きを静を肌で感じ、ひとびとの想いを掬いあげては、輪島塗の意匠に込めてきました。 「太陽の器」にも、工業化と都市化が進む現代社会においては強いまる自然への想いを込めています。 優先日本では森羅万象に神が宿ると考えられ、ひとびと太陽を「お天道さま」と受け止めました。

洗練されたプリミティブ
とかく華やかな豪華な印象を持たれがちな輪島塗ですが、どこか野性味を漂わせた「太陽の器」は、洗練されたプリミティブ(根源的な感性)でも呼びたい風格を備えていると自負しています。
直径37センチの大皿は気負いのない雰囲気を漂わせ、変わり塗りの技法「研ぎ出し」(※木地に漆で)模様を作り、何層にも色漆を塗り重ねた後に炭で平滑に研ぎ(磨き、現れた層で模様を表現する)を用いて、太陽をかたどっています。
太陽が2つとないように、「太陽の器」もまた、世界でただひとつの器です。

使ってよし、眺めてよし、暮らしを照らすお日さまパワー
「太陽の器」は、現代の暮らしに溶け込む輪島塗を求めて、「食卓と住空間を照らす太陽のような存在の器」のコンセプトをもと、田谷家9代目が職人たちと考案しました。
使うときはもちろん、それ以外でも部屋を明るくするようにとの願いを込めて、伝統的な輪島塗には見られない、平面的なフォルムを採用しています。
※器の下につけられた台)をなくし、お皿の縁にパワーもたず、フラットな形状にすることで、飾り皿としても違和感のない器に仕上げました。
無国籍なテイストを漂わせる平らなフォルムは、オードブルやサラダ、肉や魚のグリル、フィンガーフードや寿司など、どんなジャンルの料理を盛り付けてもサマになります。
食卓に登場しないついでに付属の皿立てと一緒に、インテリアのフォーカルポイント(※床の間や暖炉などの視線の集中する場所やモノ)となり、空間に華やぎ生まれます。
使ってよし、眺めてよし。それがこの器です。

大地と深くこだわった輪島塗がこの一枚に思いを込めて
かつて北前船で行商の旅に出た塗師屋は、海上を照らす太陽を仰いでみては、航海無事を祈りました。 「太陽の器」には、能登の地に暮らすひとびとに脈々と渡り、自然への感謝と畏怖の気持ちも込められています。
年齢・広範囲にサポートされ、「他の色も作ってほしい」とご要望をいただいて、当初「赤」のみで展開していた器に最近「青」「錫(すず)」のバリエーションを考えました。
1枚ずつ年プレートのように揃えたり、色違いをセットして贈り物と求められたり、飾り皿として愛用されたり、気づきのお客様が心の赴くまま、自由にこの器と付き合えているおかげで「太陽の器」は田谷漆器店のロングセラーとなっております。
塗師屋が原点に立ち返る器として、これからも大切に作り続けたいと思います。
