古くから伝わる伝統の
良さを再発見する器
毎日の暮らしの中に輪島塗を
用途の異なる3つの製品は、それぞれ日常の食卓でつねにお使いいただけるもので、長い歴史のなかで使いやすさを評価されてきた定番のお品です。漆の優しい感触をご実感いただけるように、カップ・汁椀・箸と、全て口をつけるものにいたしました。
お買い求めになられる方の性別や年齢、世代を問わず、末永くご愛用いただけるように、飽きのこないシンプルなデザインにしてあります。
カップと汁椀は、輪島塗の艶やかな光沢と、触れると身体が緩んでくるような滑らかな質感を生かすために、器の表面には加飾をほどこさず、底部分にのみ当社ロゴマークを入れました。
また箸は使いやすさを追求し、形状と仕上げにこだわりました。
当社製品をご愛顧くださっているお客さまから、初めて輪島塗に触れられるお客さまにいたるまで、ひとりでも多くの皆さまの、暮らしの新定番に加えていただけましたら幸いです。

ひとびとが古いから
手にしてきた日本の器
人生最後の晩餐に何を食べたいかを考えると、「ご飯と味噌汁」に行きつく人が多いように思います。たとえ美食やグルメに走っても、結局のところ私たち日本人は、炊き立てのご飯と湯気の立つお味噌汁が、一番のご馳走なのかもしれません。
飯椀にふんわりと盛られたご飯と、汁椀によそわれた温かいお味噌汁は、幸福な日々の営みの象徴ではないでしょうか。
ところで、「味噌汁を飲むときには、どんな器を使いますか」と尋ねられたら、即座に「お椀」と答える方が大多数だと思います。味噌汁や、すまし汁をいただくには、漆器の汁椀でなければ落ち着かない、そう主張される方もいらっしゃると思います。どれほど生活様式が変わろうとも、おそらく日本の家庭から汁椀の姿が消えることはなさそうです。
何といっても汁椀は、最も使用頻度の高い和食器のひとつであり、古くから日本人に親しまれている基本の器です。

知っているようで
意外と知らない「汁椀」の選び方
誰もが知っている、一般家庭への普及率が8割に近い汁椀ですが、あって当たり前の食器であるがゆえに、かえって選び方に迷う器です。インパクトのある大皿や片口のような際立つ個性がないぶん、どれも同じに見えてしまい、何となく手ごろなものを使用しているというご家庭も少なくないでしょう。
しかし一方で、汁椀には漆器以外にも陶製のものや合成樹脂(プラスティック)のものなど、さまざまな材質があり、特徴も異なります。
最後まで美味しい状態で汁物をいただけるかどうかは、器次第といえるでしょう。
たとえば、カフェオレ・ボウルのような陶製の器に味噌汁を入れると、熱伝導率が高いために、陶器の表面にまで汁の熱が伝わり、手で持つときに苦労します。ようやく触れたとしても、同じ大きさの漆器の約2倍の重さが負担となり、持ちあげる動作をしにくいうえに、やっと口にした汁物はぬるくなっている場合も。
プラスティックのお椀も、熱さが伝わりやすく、こちらの場合は、素材や塗装されている合成樹脂などが体内に混入する恐れも考えられます。
なかには、表面だけに漆を加工し、内側はプラスティックの、漆器風の製品もあります。
お買い求めになられる際には、品質表示を詳しく確認なさることをお勧めします。
直に口にするものは、身体に安全な素材で作られた製品から選びたい。
毎日の食卓に欠かせない器だからこそ、多くの方に汁椀の目利きになってもらいたいと思います。
